「動画が止まる」「オンライン会議が途切れる」…そんなネットの不調、マンションに住んで
いる方にとってはよくある悩みかもしれません。
実はその遅さ、集合住宅特有のネット環境や設備が影響していることが多いのです。
ここでは、マンションのネットが遅くなる主な理由を5つご紹介します。
① 建物全体で回線を“共用”している
多くのマンションでは、1本の光回線を建物全体で共有しています。
夜間や週末など、住人の利用が集中する時間帯になると回線が混雑し、通信速度が一気に低下します。これはいわば「高速道路の渋滞」のようなもので、回避するのは難しい構造です。
② 回線方式がVDSLやLAN方式のまま
築年数が古いマンションでは、「VDSL方式(電話線を使った回線)」や「古いLAN配線」が使われていることがあります。
これらは最大速度に限界があり、最新の光回線契約をしていても性能を十分に発揮できません。建物内の設備がボトルネックになっている場合、個人の努力では限界があります。
③ Wi-Fiルーターの性能不足
回線自体は良好でも、自宅のWi-Fiルーターが古かったり、スペックが低かったりすると、通信速度に大きな影響が出ます。特に、10年以上前の機種や安価なモデルでは、複数の機器を同時に接続すると処理しきれず遅くなることがあります
項目 | 約10年前のルーター(2015年頃の主流) | 最先端のルーター(Wi-Fi 6E または Wi-Fi 7 クラス) |
1. Wi-Fi規格 | Wi-Fi 4 または Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6E または Wi-Fi 7 |
2. 最大速度 | 300Mbps〜1300Mbps程度 (理論値) | 合計5400Mbps〜46Gbps超 (理論値) |
3. 対応周波数帯 | 2.4GHz / 5GHz | 2.4GHz / 5GHz / 6GHz (トライバンド) |
4. 同時接続効率 | 1対1接続 (MIMO) | 圧倒的な同時接続性能 (MU-MIMO, OFDMA, MLO) |
5. 推奨接続台数 | 5〜10台程度 | 30台以上 (機種によっては100台超も) |
④ ルーターの設置場所が悪い
電波は壁や家具などの障害物に弱いため、ルーターを部屋の隅や床の近くに設置していると、電波が届きにくくなり通信が不安定になります。
特に2LDK以上の広めの間取りでは、場所によって大きく速度が変わることも。
⑤ 契約している回線が「IPv4」のまま
従来のインターネット接続方式である「IPv4」は、利用者が多いと混雑しやすいという弱点があります。
現在では混雑に強い「IPv6」という方式が普及してきており、IPv6対応の回線に切り替えるだけで速度が劇的に改善されるケースもあります。
まとめ
マンションのネットが遅くなるのは、建物の設備・共有環境・自宅内の機器や設定など、複数の要因が絡んでいます。
まずは「どこに原因があるのか?」を知ることが、快適なネット生活への第一歩です。